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浦和地方裁判所 昭和49年(行ウ)19号 判決 1980年10月29日

神奈川県横浜市南区大岡五丁目二九番一四号

原告

渋谷茂

埼玉県浦和市原山二丁目二六番五号

渋谷キク

埼玉県浦和市原山二丁目二六番五号

原告

渋谷京子

埼玉県浦和市常盤町四丁目一一番一九号

被告

浦和税務署長

海賀弘

右指定代理人

小野拓美

岩田栄一

中島重幸

荒井一夫

本郷良一

同(ただし、甲事件について)

佐藤恭一

同(ただし、乙事件について)

鳥居康弘

右当事者間の昭和四九年(行ウ)第一九号所得税更正処分取消請求事件及び同五一年(行ウ)第一号相続税等更正処分取消請求事件について、当裁判所は、次のとおり、判決する。

主文

原告らの請求は、いずれもこれを棄却する。

訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実

第一当事者双方の求める裁判

一  原告ら

(甲事件について)

1 被告が、昭和四八年八月二二日付をもって亡渋谷兼吉の昭和四五年度分の所得税についてした

(一) 原告渋谷茂に対し更に納付すべき所得税額を金二八万二、七〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金一万四、一〇〇円の賦課決定処分

(二) 原告渋谷キクに対し更に納付すべき所得税額を金二八万二、七〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金一万四、一〇〇円の賦課決定処分

(三) 原告渋谷京子に対し更に納付すべき所得税額を金二八万五、六〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金一万四、二〇〇円の賦課決定処分

は、いずれもこれを取消す。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

(乙事件について)

1 被告が、昭和四九年一〇月一九日付をもってした

(一) 原告渋谷茂に対し更に納付すべき相続税額を金一六一万七、三〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金六万二、七〇〇円の賦課決定処分

(二) 原告渋谷キクに対し更に納付すべき相続税の額を金二九万六、九〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金六、四〇〇円の賦課決定処分

(三) 原告渋谷京子に対し更に納付すべき相続税額を金九五万六、三〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金三万二、九〇〇円の賦課処分は、いずれもこれを取消す。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

(甲、乙事件につき)

主文と同旨。

第二当事者双方の主張

(甲事件について)

一  請求原因

1 原告キクの夫にして原告茂、同京子の父である亡渋谷兼吉(昭和四六年五月二九日死亡)が昭和四五年度分の所得税につき被告に対し所得額を金三、三五二万六、五五〇円とする確定申告書を提出したところ、被告は、先ず兼吉の相続人である原告キクに対し更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をした。そこで、原告らがこれに対し異議申立をしたが棄却されたので審査請求をしたところ、被告は、昭和四八年八月二二日更に更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下、これらを合わせて甲事件各処分という。)をし、右審査請求についても原告京子に対する関係で一部更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を取消したが、その余を棄却する旨の裁決をしたが、これらの詳細は別表(一)記載のとおりであって、右裁決の結果については、昭和四九年五月二三日原告らに通知された。

2 しかしながら、甲事件の各処分は、次のとおり違法である。

(一) 右更正処分理由の記載が不備であり、原告らは、如何なる理由によってこのような処分がなされたかを知り得ないし、また、その処分が正当であるかどうかの判断もできない。

(二) 右の各処分当時兼吉の昭和四五年度分の所得税については、被告が昭和四八年二月六日付をもって原告キクに対してした更に納付すべき所得税額を金八五万六、九〇〇円とする更正処分及び過少申告加算税金四万二、八〇〇円の賦課決定処分(以下、第一次更正等の処分という。)が存在しており、本件各処分(以下、第二次更正等の処分ともいう。)はこれと抵触するものである。

(三) 兼吉の所有していた別紙物件目録記載(一)、(二)の土地(以下、本件(一)、(二)の土地という。)の譲渡所得につき、右土地の取得費用、譲渡費用、及び右土地の買換資産を過少に認定している。

3 よって、本件各処分の取消しを求める。

二  請求原因に対する被告の認否

1 請求原因1の事実を認める。

2 同2の事実を争う。

3 甲事件の各処分が適法であることは、次に述べるとおりであるから、原告らの本訴請求は、いずれも失当として棄却さるべきである。

三  抗弁並びに主張

1 理由附記について

原告らは、本件各処分について処分理由の記載が不備であると主張するが、兼吉のした本件申告は青色申告書によらない申告であるから、更正にあたって理由を附記する必要はないのみならず、その更正処分においては、更正理由を明示している。

2 第一次更正等の処分の取消について

被告は、昭和四八年二月六日付をもって原告キクに対し兼吉の昭和四五年度分の所得税についての更正処分等第一次更正等の処分をしたが、昭和四八年八月二二日本件第二次更正等の処分をするに先立ちこれを取消した。

3 兼吉の所得金額について

兼吉の昭和四五年度における所得は、分離長期譲渡所得であって、その所得額は、金四、四七九万九、五五六円であり、その内訳は別表(二)記載のとおりである。更に、これを敷衍して説明を加える。

(一) 譲渡収入金額 金六、五二〇万五、〇〇〇円

兼吉は、昭和四五年九月一六日訴外株式会社与野フードセンター(以下与野フードセンターという。)に対し、本件(一)の土地を代金二、四五七万円で、本件(二)の土地を代金四、〇六三万五、〇〇〇円合計金六、五二〇万五、〇〇〇円で売渡し同額の収入を得た。

(二) 取得費 金三二六万〇、二五〇円

本件(一)、(二)の土地は、兼吉が昭和一〇年八月一三日取得し、引続き所有していたものである。したがって、本件(一)、(二)の土地の取得費は、租税特別措置法(昭和四六年法律第二二号による改正前のもの、以下「措置法」という。)第三一条の二に定める長期譲渡所得の概算取得費の計算方法に基づいて算出すると金三二六万〇、二五〇円となる。その算式は次のとおりである。

(譲渡収入金額) (取得費)

六、五二〇万五、〇〇〇円×五パーセント=三二六万〇、二五〇円

(三) 譲渡費用 金一二万一、七五〇円

(1) 兼吉は、本件(一)、(二)の土地の譲渡に当り、左記の費用を支出した。

(ア) あっせん手数料 金一〇万円

兼吉は、本件(一)、(二)の土地の譲渡をあっせんした訴外池田四郎及び同智田吉雄に対し、あっせん手数料として各金五万円を支払った。

(イ) 登記費用 金三、七五〇円

(ウ) 印紙代 金一万円

(エ) その他の費用 金八、〇〇〇円

(2) なお、原告らは、兼吉が本件(二)の土地を日本冷凍食品株式会社(以下、日本冷凍という。)に賃貸していたので右土地の譲渡に当たり、その賃貸借契約を合意解除するために、日本冷凍に対し立退料として金五〇〇万円を支払うとともに、別紙物件目録記載(三)の土地(以下、本件(三)の土地という。)を代替地として賃貸したのであるから、右土地の借地権設定に伴う財産上の損失相当額金六八八万八、〇〇〇円と前記立退料金五〇〇万円との合計金一、一八八万八、〇〇〇円も、本件土地の譲渡費用となる旨主張する。

しかし、兼吉は、本件(二)の土地を日本冷凍に賃貸しておらず、しかも、同会社に対し立退料の支払及び本件(三)の土地を賃貸した事実はない。

(四) 買換取得資産の取得価額金一、六九〇万円

(1) 兼吉は、本件(一)の土地を売却するまで、畑として耕作していた。

(2) 兼吉は、昭和四六年四月三〇日、本件(一)の土地の譲渡収入金により、訴外ダルニー商事株式会社(以下、ダルニー商事という。)から、別紙物件目録記載(七)の建物(以下、買換建物という。)を、代金一、六八〇万円で買受けた。

(3) また、兼吉は、買換建物を取得するに当り、取引費用として金一〇万円を支出した。

(4) 原告らは、登録印紙代金五一万一、五〇〇円、不動産取得税金三〇万六、九〇〇円、その他文書代、交通費等合計金九〇万円を買換建物の取得のために要したと主張するが、登録免許税、不動産取得税は、減価償却資産の取得価額を構成するものではないし、他に経費を支出した事実もないから、兼吉が買換建物の取得に当り直接要した取引費用は、前記金一〇万円を越えることはない。

(5) 更に、原告らは、兼吉が本件(一)の土地の譲渡収入金によりダルニー商事から別紙物件目録記載(五)、(六)の土地(以下、本件(五)、(六)の土地という。)の借地権(以下、買換借地権という。)を取得したので、右借地権の価額も措置法第三七条に定める買換資産として、本件(一)の土地の譲渡収入金額から控除されるべきであると主張するが、借地権は同法第三七条に定める買換資産に該当しないから、原告の右主張は失当である。

(6) 右のとおり、措置法第三七条に定める事業用資産の買換の場合の特例として、右買換建物の取得に要した価額等合計金一、六九〇万円が、本件(一)の土地の譲渡収入金額から控除されることとなる。

(五) 長期譲渡費用の特別控除 金一〇〇万円

兼吉は、本件(二)の土地の譲渡当時右土地を事業の用に供していなかったので、措置法第三一条に定める長期譲渡所得の特別控除として、本件(二)の土地の譲渡収入金額から金一〇〇万円が控除される。

4 兼吉の昭和四五年度分の所得から控除される社会保険、生命保険、障害者、配偶者控除及び基礎控除等の金額は、合計金五四万五、〇四〇円である。

5 兼吉と前示の身分関係にある原告らは、昭和四六年五月二九日同人の死亡に基づく遺産相続により各相続分に応じて同人の権利義務を承継した。

6 被告は以上の根拠に基づいて、兼吉の昭和四五年度分の所得額(分離長期譲渡所得額)を金四、二〇九万五、四七〇円と確定して兼吉の相続人たる原告らに対してした本件更正処分には、何んらの非違もない。

7 そこで、被告は、原告らに対し国税通則法第六五条第一項の規定により、原告らが更に納付すべき各所得税額(金一、〇〇〇円未満切捨て)に一〇〇分の五の割合を乗じて得た額(金一〇〇円未満切捨て)を、同年分の過少申告加算税として賦課決定をしたのである。

四 被告の抗弁に対する原告らの認否並びに主張

1 被告の抗弁並びに主張の3の冒頭の事実を否認する。

(一) 同3(一)の事実を認める。

(二) 同3(二)の事実のうち、本件(一)、(二)の土地の取得費が金三二六万〇、二五〇円であることは不知。取得費の計算方法を争う。取得費は譲渡収入金額の一〇パーセントとすべきである。

(三) 同3(三)の事実のうち、譲渡費用が金一二万一、七五〇円であることを否認する。

(1) 同3(三)(1)の事実を認める。

(2) 同3(三)(2)の事実を否認する。

兼吉は、昭和三八年夏ころから本件(二)の土地を日本冷凍に賃貸していたので、右土地の譲渡に当り、右賃貸借契約を合意解除するために、日本冷凍に対し、立退料として金五〇〇万円を支払うとともに、本件(三)の土地を代替地として賃貸したのであるから、右土地の借地権設定に伴う財産上の損失相当額金六八八万八、〇〇〇円と前記立退料金五〇〇万円との合計金一、一八八万八、〇〇〇円も本件(二)の土地の譲渡費用となる。

(四) 同3(四)の事実のうち、買換資産の取得価額が金一、六九〇万円であることを否認する。

(1) 同(1)の事実を認める。

(2) 同(2)の事実のうち、兼吉が昭和四六年四月三〇日本件(一)の土地の譲渡収入金により、ダルニー商事から買換建物を取得したことを認めるが、その余の事実を否認する。

(3) 同(3)の事実を認める。

(4) 買換建物の取得費としては、更に登録印紙代金五一万一、五〇〇円、不動産取得税金三〇万六、九〇〇円、その他文書代、交通費等合計金九〇万円をも認められるべきである。

(5) 兼吉は、本件(一)の土地の譲渡収入金により、ダルニー商事から買換借地権を取得した。したがって、買換借地権価格と買換建物の価格合計金二、四〇〇万円を、措置法第三七条に定める買換資産として、本件(一)の土地の譲渡収入金額から控除すべきである。

(6) 同6を争う。

(五) 同(五)の事実を認める。

2 同5の事実を認める。

3 同6を争う。

4 同7を争う。

(乙事件について)

一  請求原因

1 原告らは、昭和四六年一一月二九日被告に対し被相続人亡渋谷兼吉から相続により取得した財産に対する相続税につき、別表(三)(1)ないし(3)の申告欄記載のとおり確定申告をしたところ、被告は、右(1)ないし(3)の更正欄記載のとおり、原告らに対し相続税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下、乙事件各処分という。)をした。原告らは、これに対しそれぞれ異議申立をしたところ一部取消す旨の異議決定がなされたので、更に審査請求をしたところこれを棄却する旨の裁決がなされたが、その経緯は右同表(1)ないし(3)に記載するとおりである。

そして、右裁決書は、同五〇年一一月一一日原告らに送達された。

2 しかしながら、本件各処分は、原告らの相続財産を過大に認定した違法があるので、その取消しを求める。

二  請求原因に対する認否

1 請求原因1の事実を認める。

2 同2を争う。

3 しかして、本件の各処分が適法なものであることは、次に述べるとおりであるから、原告らの本訴請求は、失当として棄却さるべきものである。

三  被告の抗弁並びに主張

1 原告らが、兼吉の相続により取得した財産及びその課税価格等は、別表(四)記載のとおりであるから、原告茂の相続税課税価格は金二、一六一万五、〇〇〇円、原告キクのそれは金一、三四八万四、〇〇〇円、原告京子のそれは金一、七八七万八、〇〇〇円である。

なお、原告らは、兼吉が昭和四五年九月中旬ころ別表(四)順号3記載の土地(別紙物件目録記載(三)の土地、以下、本件(三)の土地という。)を日本冷凍に賃貸したと主張するが、そのような事実は存じない。

原告らは、兼吉が昭和四二年一〇月一日ころ同表順号8記載の土地(別紙物件目録記載(四)の土地、以下、本件(四)の土地という。)を原告京子に賃貸したと主張するが、右の事実も存じない。

また、原告らは、兼吉が相続開始前訴外新井孝吉に対し同表順号6記載の土地を譲渡したから右土地は相続財産ではないと主張するが、右譲渡の事実もない。

仮に、兼吉が右土地を新井孝吉に譲渡していたとしても、原告らは、申告の際、右土地を相続財産として申告しており、右申告は客観的に重大かつ明白な錯誤によってされたものではなく、錯誤の主張を許さなければ原告らの利益を著しく害する事情もないから、原告らが、右土地を相続財産でないと主張することは許さるべきものではない。

2 以上の事実に基づいて計算した原告らの相続税額は、別表(四)の(二)記載のとおり原告茂につき金五一三万一、三一四円、同キクにつき金三一二万八、八五〇円、同京子につき金四二五万五、二三六円であるから、これを下廻ってした相続税額の更正処分に違法の点はない。

3 被告は、原告らに対し右の更正処分によって更に原告らの納入することとなった相続税額(申告税額と異議決定による一部取消後のものとの差額、金一、〇〇〇円未満切捨て)に一〇〇分の五の割合を乗じて得た額(金一〇〇円未満切捨て)を過少申告加算税として、その賦課決定処分をしたのである。

四  抗弁に対する認否並びに主張

1 同1の事実のうち、本件(三)の土地は、兼吉が昭和四五年九月中旬ころ、日本冷凍に賃貸したものであるから、その借地権価格を控除して評価すべきである。

本件(四)の土地は、兼吉が昭和四二年一〇月一日ころ原告京子に賃貸したものであるから、その評価をするに当っては借地権価格を控除すべきである。

同表順号11記載の土地の借地権(買換借地権)価格は、金二八万〇、七八四円である。

同表順号6記載の土地は、兼吉が相続開始前に新井孝吉に譲渡したものであるから、相続財産に属しない。

原告らは、右土地を相続財産として申告したが、右は錯誤によるものである。

2 同2、3の事実を争う。

第三証拠

一  原告

1  甲事件について

(一) 甲第一号証(乙事件甲第一号証と同じ、第二、第三号証は欠番)、第四号証、第五号証の一、二を提出。

(二) 乙第一号証の一、二、第二ないし第五号証、第六号証の一、二、第七、第八号証、第一六号証、第一八号証、第二〇、第二一号証、第二三号証、第三〇号証、第四二号証の一、二、第四五、第四六号証の各成立を認める(ただし、第三、第四号証については原本の存在を含めて。)。第三二ないし第三四号証、第三五号証の一、二、第三六号証の三の成立は原告キクにおいてこれを認める。

その余の乙号各証の成立はいずれも知らない。

2  乙事件について

(一) 甲第一号証(甲事件甲第一号証と同じ)、第二号証の一ないし三、第三号証の一、二を提出

(二) 乙第一ないし第三号証、第七号証、第九号証の一、二、第一四号証、第二一ないし第二三号証の各成立を認める。第一六ないし第一八号証、第一九号証の一、二、第二〇号証の三は原告キクにおいてその成立を認める。その余の乙号各証の成立はいずれも知らない。

3  甲、乙両事件について

原告本人渋谷茂尋問の結果を援用

二  被告

1  甲事件について

(一) 乙第一号証の一、二、第二ないし第五号証、第六号証の一、二、第七ないし第二一号証(第八号証は乙事件乙第二一号証と、第一六号証は乙事件乙第二二号証と同じ)、第二二号証の一、二、第二三ないし第二五号証、第二六、第二七号証の各一、二、第二八ないし第三四号証(乙事件乙第一二ないし第一八号証と同じ)、第三五号証の一、二(乙事件乙第一九号証の一、二と同じ)、第三六号証の一ないし三(乙事件乙第二〇号証の一ないし三と同じ)、第三七ないし第四〇号証(第四〇号証は乙事件乙第一〇号証と同じ)、第四一ないし第四三号証の各一、二(第四一、第四二号証の各一、二は乙事件乙第八、第九号証の各一、二と同じ)、第四四号証の一ないし七、第四五、第四六号証を提出。

(二) 証人韮沢正史の証言を援用。

(三) 甲第一号証、第四号証の成立は認める。第五号証の一の官署作成部分の成立を認めるがその余の部分の成立は不知。第五号証の二の北衛名下の印影が同人の印章によることを認めるがその余の部分の成立は知らない。

2  乙事件について

(一) 乙第一ないし第七号証、第八、第九号証の各一、二(甲事件乙第四一、第四二号証の各一、二と同じ)、第一〇、第一一号証(第一〇号証は甲事件乙第四〇号証と同じ)、第一二ないし第一八号証(甲事件乙第二八ないし第三四号証と同じ)、第一九号証の一、二(甲事件乙第三五号証の一、二と同じ)、第二〇号証の一ないし三(甲事件乙第三六号証の一ないし三と同じ)、第二一ないし第二三号証(第二一、第二二号証は甲事件乙第八号証、第一六号証と同じ)を提出。

(二) 甲第一号証、第二号証の三、第三号証の一、二の各成立を認める。その余の甲号各証の成立はいずれも知らない。

3  甲、乙両事件について

証人小口守義、桾沢荘太、本郷良一の各証言を援用。

理由

(甲事件について)

一  原告キクの夫にして原告茂、京子の父である渋谷兼吉(昭和四六年五月二九日死亡)が被告に対し昭和四五年度分の所得税所得金額を金三、三五二万六、五五〇円とする確定申告書を提出したところ、被告は、右兼吉の相続人である原告キクに対し更正処分及び過少申告加算税賦課決定(第一次更正処分等)をしたこと、原告らが右の各処分につき異議申立をしたが棄却されたので審査請求をしたところ、被告は原告らに対し同四八年八月二二日更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(第二次更正処分等。甲事件各処分。)をし、次いで原告京子に対する関係で右処分の一部を取消したが、その余の審査請求も棄却する旨の裁決がなされたこと、右兼吉の確定申告、第二次更正処分等、これに対する原告ら審査請求及びその裁決等の経緯が別表(一)記載のとおりであること並びに右裁決の結果が同四九年五月二三日原告らに通知された事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二  原告らは、本件更正処分の理由の記載に不備があると抗争するので、先ず、この点について判断するに、成立に争いのない甲事件乙第一号証の一、二によると、兼吉のした昭和四五年分所得税の確定申告は、譲渡所得のみに係わるものである事実を認めることができるから、もとより青色申告書により得べきものではなく、従ってこれを青色申告書による申告の場合と同視し、その更正には理由の附記を要するものと解すべき根拠も存しないから、本件更正処分に理由附記が存しないがために違法であるとする原告らの主張は失当である。

のみならず、証人小口守義の証言によって成立を認める甲事件乙第一二号証、弁論の全趣旨によって成立を認める同第一三、第一四号証によると、本件更正処分の通知書には、右処分の理由として「借地権部分について所得税法施行令第六条の減価償却資産に該当しないため否認します。」と記載し、更に別表を添付してその計算関係を明らかにしている事実を認めることができるから、原告らが如何なる理由によってこのような処分をなされたかを知り得ないし、その処分が正当であるかどうかの判断もできない旨の原告らの主張も理由がない。

三  次に、原告らは、第二次更正等の処分は第一次更正等の処分に抵触する旨主張するので、判断するに、前示甲事件乙第一二ないし第一四号証、証人桾沢荘太の証言によって成立を認める甲事件乙第一一号証によると、被告は昭和四八年二月六日兼吉の相続人代表原告キクに対し、兼吉の昭和四五年度分の所得税について前示のとおりの第一次更正等の処分をしたが、同年八月二二日に至り右各処分を取消し、第二次更正等の処分として本件の各処分をした事実を認めることができる。もっとも、前示甲事件乙第一二ないし第一四号証によれば、本件第二次更正等の処分の通知書に付された番号(昭和四八年八月二二日浦所第八三二ないし八三四号)が第一次更正等の処分の取消通知書(甲事件乙第一一号証)に付された番号(右同日浦所第八三五号)に先立つものであることが認められるけれども、右各証拠によると、第一次更正等の処分の取消は昭和四八年七月三一日に決議され、第二次更正等の処分は同年八月九日に決議されている事実を認めることができるから、右番号は、処分の先後を明らかにしたものではなく、被告が文書の整理、発送のためにした単なるメモ的な記載にすぎないものと認められるから、右の事実をもって前叙認定を左右することはできず、他にこれを左右するに足りる証拠はない。

従って、本件第二次更正等の処分には、原告らの主張するような違法は存しない。

四  進んで、兼吉の昭和四五年度分の所得金額について判断する。

1  譲渡収入金額

兼吉が昭和四五年九月一六日与野フードセンターに対し本件(一)、(二)の土地を代金合計金六、五二〇万五、〇〇〇円で売渡し、同額の収入を得た事実は、当事者間に争いがない。

2  取得費

本件(一)、(二)の土地は兼吉が昭和一〇年八月一三日ころ取得し、引続いて所有していたものである事実は、原告らの明らかに争わないところであるから、これを自白したものとみなす。

右の事実によれば、本件(一)、(二)の土地の取得費は、措置法第三一条の二により、長期譲渡所得の概算取得費の計算方法に基づいて算出すべきものであるから、前示入金額の五パーセントに相当する金三二六万〇、二五〇円をもって右各不動産の取得費とすべきものである。原告らは、取得費は譲渡収入金額の一〇パーセントとすべきである旨主張するが、その失当であることは、右規定に照して明らかである。

3  譲渡費用

(一) 兼吉が本件(一)、(二)の土地を譲渡するに際し、あっせん手数料として池田四郎及び智田吉雄に対し各金五万円を支払ったほか、登記費用として金三、七五〇円、印紙代金一万円、その他の費用金八、〇〇〇円、以上合計金一二万一、七五〇円を支出した事実は、いずれも当事者間に争いがない。

(二) 日本冷凍に対する立退料の支払及び借地権設定について

原告らは、兼吉が本件(二)の土地の賃借人日本冷凍に対し立退料として金五〇〇万円を支払ったほか、本件(三)の土地をその代替地として賃貸した旨主張するので、この点について検討する。

(1) 成立に争いのない甲事件乙第一八号証、第二三号証、証人小口守義の証言により真正に成立したと認められる甲事件乙第一七号証、第一九号証、第二二号証の一、二、第二四、第二五号証、証人本郷良一の証言により真正に成立したと認める甲事件乙第四四号証の二に、証人小口守義、本郷良一の各証言を総合すると、本件(二)の土地の一部約九九平方メートルについては、訴外斉藤周作が昭和七、八年ころこれを賃借し、家屋を建築して占有使用していたが、昭和三八年一一月一日浦和簡易裁判所昭和三八年(ユ)第九号建物収去、土地明渡調停事件において、右斉藤は兼吉に対し前記家屋を収去して右土地を明渡す旨の調停が成立したこと、右調停にもとずいて、斉藤は、同年三月三日ころ兼吉に対し前記家屋を収去して右土地を明渡したこと、兼吉は、同四三年七月二〇日ころから同年一〇月一〇日ころまで、本件(一)の土地のうち約二三平方メートルを訴外石川台吉に仮店舗用地として一時賃貸したこと、日本冷凍は、同四一年九月一日冷凍食品の加工、販売等を目的とし、資本金二五〇万円、本店所在地を横浜市港区東山田町一丁目一〇番地として設立され年間売上金三、〇〇〇万円程を有していたが、原告らが同社に賃貸したと主張する昭和三八年夏ころには同社は存在していなかったこと、兼吉と右同社間に本件(二)の土地の賃貸借契約書も作成されず、日本冷凍は本件(二)の土地を使用したこともなければ、その賃料を支払ったこともないこと、日本冷凍は、本店所在地に本件(五)、(六)の土地及び買換建物を所有し、これを工場及び倉庫として使用していたのであるから、その適正規模の点からしても、本店所在地から遠く離れた本件(二)の土地を必要とする事情も認められなかったこと、同社は設立後間もない同四三年六月ころ金六、〇〇〇万円もの累積した負債をかかえこれが軽減を計るため、同月二八日本店所在地に存する右(五)、(六)の土地及び買換建物をダルニー商事に売却したが、本件(二)の土地の借地権についてはその処分等を企図した形跡も認められないこと、以上の事実を認めることができ、右の事実を総合すると、兼吉は日本冷凍に対して本件(二)の土地を賃貸した事実は存しなかったものといわざるを得ない。右認定に反する甲事件甲第五号証の一、二、の記載及び原告本人渋谷茂尋問の結果は、前項各証拠に照らし信用できず、他にこれを動すに足りる証拠は存しない。

もっとも、成立に争いのない甲事件乙第四号証によれば、兼吉は昭和四五年九月一四日日本冷凍に対し本件(二)の土地使用権放棄料名下に金五〇〇万円を交付した事実が認められる。しかしながら、前示甲事件乙第二二号証の一、二、乙第二三号証、証人小口守義の証言により真正に成立したと認められる甲事件乙第二六、第二七号証の各一、二、証人小口守義の証言及び原告本人渋谷茂尋問の結果(後記信用しない部分を除く)を総合すると、日本冷凍はダルニー商事の食品製造部門を分離して設立されたものであって、同社の発行済株式五、〇〇〇株のうち二、五〇〇株をダルニー商事が所有し、右両会社は親会社、子会社の関係にあり、また、原告茂も日本冷凍の株式一〇〇株を保有していたこと、原告茂とダルニー商事の代表取締役である訴外福田信之、日本冷凍の代表取締役である訴外北衛とは、旧満州国の大連中学校の同級生として親密な間柄にあったこと、原告キク、同京子はダルニー商事又は日本冷凍に勤務した事実がないにもかかわらず、別表(五)記載のとおり昭和四五年から同五一年までダルニー商事及び日本冷凍から給料名下に合計金六四四万八、五五五円もの金員の支払を受けていることが認められる。そして、右の事実に本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、兼吉は、日本冷凍に対し何らかの理由により本件(二)の土地の使用権放棄料の名目で金五〇〇万円を交付したが、右金員は、利息分を含め原告キク、京子の給料名下に、前記のとおりこれが返還を受けたものと認めるを相当とするから、兼吉の右金五〇〇万円の交付の事実から、原告らの主張する立退料支払の事実を認定することはできない。

また、甲事件甲第一号証、乙事件甲第三号証の一、二、甲事件甲第五号証の二には、日本冷凍が本件(三)の土地を賃借している旨の記載があり、原告本人渋谷茂もこれに添う供述をするが、成立に争いのない甲事件乙第三〇号証(乙事件乙第一四号証)、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき甲事件乙第二九号証、証人小口守義の証言及びこれにより真正に成立したと認められる甲事件乙第二八号証、第三一号証、第三、六号証の一、二、いずれも被告と原告渋谷キクとの間には成立に争いがなく、被告とその余の原告らとの間においては証人小口守義の証言により真正に成立したと認める甲事件乙第三二ないし第三四号証、第三五号証の一、二、第三六号証の三によると、本件(三)の土地の一部には、以前から訴外渋谷實の居住所有する木造瓦葺平家建居宅一棟床面積五七・八五平方メートルの建物が存在していたが、昭和四四年ころ右建物から立退いてこれを兼吉に譲渡したこと、同四六年ころ原告キクが所有し兼吉と原告キク、同京子が居住していた浦和市原山新田北原三〇八番地上の建物が、本件(三)の土地上に曳家されたこと、兼吉はそれから死亡した同四六年五月まで、原告キクは同年一二月ころまで右曳家した建物に居住していたこと、その後原告キクは右建物を一時訴外狩野文彦の娘に、同四九年一一月ころ訴外斉藤幸彦に各賃貸し、次いで同五一年一一月ころ鈴木紀一に対し、権利金一〇万円、賃料月額金三万円と定めて賃貸したこと、更に原告キク同四八年一〇月ころ本件(三)の土地の空地を与野フードセンター及び近隣の者に対し駐車場として賃貸したこと及び日本冷凍は本件(三)の土地を使用したことのない事実を認めることができるから、これと相反した記載の存する前示甲号各証も措信することができない。

更に、乙事件甲第三号証の一、二には、日本冷凍が昭和五一年、原告茂に対し本件(三)の土地の賃料を支払った旨の記載があるが、成立に争いのない甲事件乙第八号証、第四五号証、証人本郷良一の証言によって真正に成立したと認められる甲事件乙第四四号証の一ないし七によると、原告茂は昭和四六年一二月一日日本冷凍に対し買換建物を賃貸し、その旨の公正証書を作成し、日本冷凍はその後同四八年六月まで、買換建物の家賃を原告キクに、その敷地である本件(五)、(六)の土地の地代を原告茂にそれぞれ支払った旨の勘定科目内訳明細書を添付して、各事業年度の法人税確定申告書を所轄税務署長に提出していたところ、本訴提起の後に提出された、同四八年七月一日から同四九年六月三〇日までの事業年度における法人税の確定申告書において、何ら資産面の移動がないにも拘らず、原告茂に対する地代の支払区分のみを、浦和市大字原山新田字北原三〇一番地の倉庫用地と変更し、従来の申告と異なる申告をした事実を認めることができ、右事実によれば甲事件甲第三号証の二の記載は、事実に吻み合わないものと認めざるを得ない。

以上にみたとおり、兼吉は、日本冷凍に対し本件(二)の土地を賃貸しなかったのであるから、右土地を売却するに際し、日本冷凍に対し金五〇〇万円の立退料を支払うとともに、その代替地として本件(三)の土地につき賃借権を設定した事実の如きは全く存しなかったものというべきである。他に右認定を左右するに足りる証拠は存しない。従って、この点に関する原告らの主張は、失当というほかない。

4  買換取得資産の取得価額

(一) 兼吉が本件(一)の土地を売却するまで畑として耕作していたこと及び兼吉がいわゆる買換資産として昭和四六年四月三〇日右土地の譲渡による収入金額により、ダルニー商事から買換建物を取得した事実は、当事者間に争いがなく、原本の存在並びに成立に争いのない甲事件乙第三号証によると、兼吉はダルニー商事から買換建物とともに、その敷地たる本件(五)、(六)の土地の借地権(買換借地権)を代金二、四〇〇万円と定めて買受けた事実を認めることができる。

原告らは、右借地権も買換資産として譲渡収入金額から控除すべきであると主張するが、所得税法第二条第一項第一八号、第一九号、同法施行令第五条、第六条、資産再評価法第二〇条第一項等の規定によると、税法上、土地及びその上に存する借地権等の権利と減価償却資産とは明確に区別され、土地及びその上に存する借地権等の権利は、減価償却資産に含れないことが明らかであるから、原告らの右主張は採用の限りでない。

(1) そこで、買換建物の取得価格の点について検討する。

ところで、本件の如く、借地権及び建物が一括して売買の対象とされた場合において、その一方の代金額を算出するには、当該借地権及び建物が客観的に有するそれぞれの時価の割合により右売買代金を配分するのが合理的であることはいうまでもない。

そこで、右の方法により、兼吉が購入した際における買換建物の売買代金額について考える。

(ア) 成立に争いのない甲事件乙第五号証、第六号証の一、二、証人小口守義の証言及びこれにより真正に成立したと認められる甲事件乙第三七、第三八号証、第四一号証の一、二、証人桾沢荘太の証言及びこれにより真正に成立したと認められる甲事件乙第四〇号証によると、ダルニー商事は昭和四一年八月五日本件(五)、(六)の土地を代金六八〇万円で取得し、同年一〇月ころこれを子会社である日本冷凍に譲渡したこと、日本冷凍は、昭和四二年三月買換建物を金一、二五二万〇、七六〇円で建築したうえ、同年五月、金二七万四、〇〇〇円を投じて建物付属設備(冷却水排水設備)を取付けたこと及び右各土地の借地権価格は、その更地価格の六割である事実を認めることができる。

(イ) そして、弁論の全趣旨により真正に成立したと認める甲事件乙第三九号証によると、昭和三〇年三月を一〇〇とした場合における同四一年三月、同年九月、同四六年三月、同年九月における六大都市の市街地価格の指数は、別表(六)(2)の該当欄記載のとおりであることが認められる。そこで、右の事実から同四六年四月三〇日当時の本件(五)、(六)の土地の借地権価格を算出すると、別表(六)、(1)及び(2)記載のとおり、金七二八万六、八八〇円となる。

(ウ) 次に、証人小口守義の証言によって成立を認める甲事件乙第四三号証の一、二によると、昭和四二年及び同四六年における横浜市港北区における鉄筋コンクリート造の着工建築物の延床面積及び工事費予定額は、別表(七)(2)の該当欄記載のとおりである事実を認めることができるから、同四二年の指数を一〇〇とした場合の同四六年におけ建築物価指数一三〇・八によって、買換建物の同四六年当時における建築費用を求め、これより、耐用年数を四五年として同四二年三月から同四六年四月三〇日まで減価償却費を控除すると、同四六年四月三〇日現在における買換建物の価格は、別表(七)(1)ないし(3)記載のとおり、金一、三二二万八、一三三円となる。

(エ) なお、建物付属設備の時価は、前示取得価格金二七万四、〇〇〇円から、日本冷凍がこれを取得した時より兼吉の購入時までの減価償却費を、耐用年数を一五年として計算して控除すると、別表(八)(1)、(2)のとおり、金一四万八、四九一円となる。

(オ) したがって、兼吉が本件(五)、(六)の土地の借地権及び買換建物の取得価格である金二、四〇〇万円を、前示(イ)ないし(エ)のとおりに算出した価格の比率によって按分すると、別表(九)記載のとおり、付属設備を含んだ買換建物の価格は、金一、五五三万七、六〇〇円となる。前示甲事件乙第四〇号証に、証人桾沢荘太、韮山正史の各証言によると、土地評価等の業務に従事している訴外天野耕作は、本件(五)、(六)の土地及び買換建物を実地に検分したうえ、昭和四八年一一月当時における買換建物の価格を金一、四〇〇万円、右各土地の借地権の価格を金一、〇〇〇万円と評価していること及び原告茂は昭和四七年ころ本件譲渡所得について調査を受けた際、係官である訴外韮沢正史に対し買換建物の価格と借地権の価格の割合は、建物が七割(金一、六八〇万円)、借地権が三割(金七二〇万円)であると述べた事実を認めることができ、これらの事実によっても、右認定を支持することができる。

(2) 以上のとおりであるから、兼吉の買換建物の購入代金は、付属設備を含めて金一、五五三万七、六〇〇円と認めるのが相当である。

もっとも、成立に争いのない甲事件乙第一六号証、第四二号証の一、二によると、昭和四五年度における固定資産税課税台帳における評価額は、本件(五)、(六)の土地は合計金三五九万九、九〇六円であり、買換建物は金一、〇〇八万一、一〇〇円であることが認められ、右価格をもとに前示の方法によって前示買換建物及び借地権の価格金二、四〇〇万円を按分すると、買換建物の価格は金一、五五三万七、六〇〇円を上廻ることになるけれども、右評価額は正確に時価を評価したものとは認められないから、これをもって、前叙認定を覆すことはできず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

5  買換資産の取得経費

証人韮山正史の証言によると、兼吉は買換建物を取得する際の費用として金一〇万円を支出した事実を認めることができる。

原告らは、登録印紙代金五一万一、五〇〇円、不動産取得税金三〇万六、九〇〇円、その他文書代、交通費等合計金九〇万円を買換建物の取得のために要したと主張するけれども、所得税法施行令第一二六条によると、登録免許税、不動産取得税は、いずれも減価償却資産の取得価格を構成するものではないことが明らかであるから、兼吉が買換建物の取得に当り直接要した取引費用は、右に認定した金一〇万円を上廻るものではないといわざるをえない。

6  長期譲渡費用の特別控除

兼吉が本件(二)の土地を事業の用に供していなかった事実は、当事者間に争いがない。そうすると、措置法第三一条の規定による特別控除として、金一〇〇万円が本件(二)の土地の譲渡収入金額から控除される。

7  その他の控除

兼吉が昭和四五年度分の所得額から控除される社会保険、生命保険、障害者、配偶者控除及び基礎控除等の合計額が金五四万五、〇四〇円である事実は、当事者間に争いがない。

五  そうすると、兼吉の昭和四五年度における本件(一)、(二)の土地の売却による分離長期譲渡所得は、四1の譲渡収入金額金六、五二〇万五、〇〇〇円から同4の買換資産の取得価格金一、五五三万七、六〇〇円及び同5の取得経費金一〇万円を控除して算出される、譲渡があったとみなされる金額金四、九五六万七、四〇〇円から、四2の取得費金三二六万〇、二五〇円、同3の譲渡費用金一二万一、七五〇円のうち右譲渡があったとみなされる金額に対応する金二五七万〇、九二一円、同6の長期譲渡費用の特別控除金一〇〇万円及び同6の各種控除金五四万五、〇四〇円以上合計金四一一万五、九六一円を控除した金四、五四五万一、〇〇〇円(金一、〇〇〇円未満切捨て)が課税されるべき所得金額であり、これに対する納税義務を負担するに至ったというべきところ、右兼吉が同四六年五月二九日死亡し、妻である原告キク、子である原告茂、同京子が各相続分(昭和五五年法律第五一号による改正前の民法第九〇〇条によるもの)に応じて同人の権利義務を承継した事実は、当事者間に争いがないから、兼吉の右所得金額に対する所得税額は金四五四万五、一〇〇円、原告らが更に納付すべき所得税額の合計は金一二四万七、〇〇〇円、相続分に応じて原告らが更に納付すべき所得税額は各金四一万五、六〇〇円(金一〇〇円未満を切捨て)となる。その計算関係は、別表(一〇)(1)ないし(3)に記載するとおりである。

六  そして、以上の事実によれば、被告は、国税通則法第六五条第一項の規定により、別表(一〇)(1)、(2)に記載するとおり、原告らが更に納付すべき所得税額(金一、〇〇〇円未満切捨て)に一〇〇分の五の割合を乗じて得た額(金一〇〇円未満切捨て)を、過少申告加算税として賦課決定をし得ることが明らかである。

七  以上に認定したとおり、兼吉の昭和四五年度分の所得額に基づき、その相続人である原告らに対してした被告の本件更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は、いずれも現実の所得税額を下廻るものであるから、これを目して違法なものであるということはできない。

よって、原告らの本件の各処分の取消しを求める本訴請求は、失当として棄却すべきものである。

(乙事件について)

一  原告らが昭和四六年一一月二九日被告に対し被相続人亡渋谷兼吉から相続によって取得した財産に対する相続税につき別表(三)(1)ないし(3)の申告欄記載のとおり確定申告をしたところ、被告は、原告らに対し右(1)ないし(3)の更正欄記載のとおり、相続税更正処分及び過少申告加算税賦課決定(以下、これらを合わせて乙事件各処分という。)をしたこと、原告がこれに対し異議申立をしたところ一部取消す旨の異議決定がなされたので、更に審査請求をしたが棄却されたこと、その経緯が別表(三)(1)ないし(3)記載のとおりであること及び右審査請求を棄却する旨の裁決書が同五〇年一一月一一日原告らに送達されたこと、以上の事実は、当事者間に争いがない。

二  次に、本件相続財産の範囲、評価額、取得者及び債務等の点について判断する。

(一)  別表(四)記載の財産等のうち順号1ないし5、7ないし12の不動産(ただし、11については借地権)が相続財産に属してそのただし11、12を除く取得者及び取得割合が同表の取得した人の氏名欄記載のとおりであること、同表記載順号1、2、4、5、7、9、10の課税価格が同表課税価格欄記載のとおりであること、同表記載順号13ないし17の有価証券、現金預金等が相続財産に属し、右13の有価証券、17の家具一式の課税価格、右有価証券、現金、預金等の取得者、取得金額が同表記載の課税価格、取得した人の氏名、取得金額欄に記載するとおりであること及び兼吉の市民税の公租公課を原告らが同表記載順号19の取得金額欄記載のとおり承継し、原告キクが兼吉の葬式費用として同表記載順号20の取得金額欄記載の金員を支出したこと並びに原告らが同表記載順号23のとおり課税価格に算入される財産の贈与を受けその受贈者贈与価格が右23の取得した人の氏名、取得金額欄に記載のとおりであること以上の事実は、成立に争いのない乙事件乙第二三号証に本件口頭弁論の全趣旨を総合して認めることができ、他に右認定を動すに足りる証拠は存しない。

2 本件(三)の土地(別表(四)順号3記載の土地)について。

(一) 証人小口守義の証言に本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、被告は関東信越国税局長が相続税財産評価基準として設定した路線価に基づき本件(三)の土地を一坪金五万六、〇〇〇円の割合による金一、一四八万円と評価した事実を認めることができる。そして、原告茂が本件相続税の申告に際し右土地の更地価格を一坪金五万六、〇〇〇円として計算していることは、前示乙事件乙第二三号証によって明らかであり、右の事実によれば、被告が本件(三)の土地についてした右評価は、適正なものであったということができる。他に右評価を不当と認めるに足りる証拠は存しない。

(二)  原告らは、兼吉が昭和四五年九月中旬ころ本件(三)の土地を日本冷凍に賃貸したから、右土地を評価するについては借地権価格を控除すべきである、と主張するが、兼吉が本件(三)の土地を日本冷凍に賃貸した事実の存しないことは、甲事件理由四において説示したとおりであるから、原告らの右主張は、その前提において採用することができない。

3 本件(四)の土地(別表(四)順号8の土地)について。

(一) 証人小口守義の証言並びに本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、被告は前示相続税財産評価基準として設定された路線価に基づき、右(四)の土地を一坪金五万六、〇〇〇円の割合による合計金五六〇万円と評価した事実を認めることができ、原告京子が本件相続税の申告に際し、その更地価格を一坪金五万六、〇〇〇円として計算している事実は、前示乙事件乙第二三号証によって認めることができる。右の事実によれば、被告が本件(四)の土地についてした右評価は適正なものであったということができる。

右認定を動すに足りる証拠は存しない。

(二) ところで、原告らは、兼吉は昭和四二年一〇月一日ころ本件(四)の土地を原告京子に賃貸したから、右土地を評価するについては借地権価格を控除すべきであると主張するので、この点について判断を加える。

(1) 成立に争いのない乙事件乙第一号証に、原告本人渋谷茂尋問の結果(ただし、後記信用しない部分を除く。)を総合すると、原告らが賃貸借契約が成立したと主張する昭和四二年当時原告京子は漸く一九才であり、父である兼吉、母である原告キクとともに本件(四)の土地上に存した原告キク所有の前示建物に居住し、このような同居居住関係は同四五年九月まで変化がなかったこと、同四六年ころ原告キク名義の右建物は本件(三)の土地上へ曳家され、本件(四)の土地上には原告京子所有の建物が建築されたが、原告京子は、同四八年一一月一八日新築した右家屋に関し被告からの照会に対し本件(四)の土地を借受けたのは昭和四五年九月であり、地代は右両親と「同居し扶養する約束」で、その額は「年三〇万円位」であると回答していること、同四七年ころにおいても原告京子の収入は一年金六九万六、〇〇〇円程度であり、しかも、前記新築家屋建築のための借入金の返済として毎月金四万一、一五〇円を支払っている事実を認めることができ、兼吉が同四五年九月一六日本件(一)、(二)の土地を与野フードセンターに代金六、五二〇万五、〇〇〇円で売渡した事実は、甲事件理由四1において説示したとおりである。以上の事実によれば、原告京子は昭和四五年九月ころ建物を所有するため本件(四)の土地を使用すべき何らかの権限を取得したが、当時兼吉及び原告キクは扶養を要する状態になく、また原告京子も兼吉らを扶養するに足りる資力を有しなかったのであるから、右は親子間の情誼に基づく使用貸借契約によるものと認めるのが相当である。そうすると、原告京子は、本件(四)の土地につき昭和四二年一〇月一日ころ兼吉との賃貸借契約により建物所有を目的とする使用権限を取得しなかったのはもとより、その後においても賃借権を取得しなかったものと断ぜざるを得ない。もっとも、乙事件甲第二号証の一には、「兼吉は、昭和四二年一〇月一日原告京子に対し、本件(四)の土地につき賃料は同年一〇月一日から一か月金二万円、家屋建築後は一か月金三万円を支払うこととしてその使用を承諾する。」旨の記載があり、原告茂は、「昭和四二年一〇月ころ兼吉と原告京子間の右賃貸借契約につき公正証書を作成すべく、委任状及び印鑑証明書を準備した。」旨供述し、右供述に符合するように、乙事件甲第二号証の二には、「兼吉が昭和四二年一〇月二日原告茂に対し原告京子との間で公正証書により本件(四)の土地の賃貸借契約を締結する一切の権限を委任する。」旨の記載があり、これに兼吉の昭和四二年一〇月二日付印鑑証明書(乙事件甲第三号証の二)が添付されているが、前示のとおり、原告京子は昭和四二年一〇月当時漸く一九才に達したばかりの未成年者であったから、右の如き賃貸借契約を締結したとするなら、その法定代理人である原告キクが右原告を代理すべき筋合いであるが、原告キクが原告京子を代理して兼吉と右土地の賃貸借契約を締結したと認めるに足りる証拠はなく、また、原告本人渋谷茂尋問の結果によると、原告京子は昭和四二年ころ、訴外日本火薬に勤務していた事実を認めることができるが、成立に争いの甲事件乙第四六号証によって認められる昭和四三年当時の埼玉県における女子常用労働者の月間現金給与額の平均が金三万一、二九一円であったことを勘案すると、原告京子の当時における収入は一カ月金三万円程度と推認することができるから、同原告は、当時右の如き賃料を支払うに足りる資力を有しなかったものといわざるを得ないし、もとより原告京子が右土地の賃料を支払った事実を認めるに足りる証拠も存しない。だからといって、右乙事件甲第二号証の一ないし三がすべて虚偽のものであるというわけのものではない。おそらく兼吉は、原告京子の行末を案じ、かつ原告キクの老後のことなどに思いをめぐらして、将来原告京子をして本件(四)の土地に建物を建築させることを考え、その敷地を確保するための方策として賃貸借契約によることとし、前示承諾書、委任状及び印鑑証明書等の書類まで用意したが、結局これを実行するに至らず、昭和四五年九月ころ原告京子が右土地上に建物を建築するに及び、前示のとおりこれを無償で使用することを承諾するに至ったものであろう。以上要するに、右認定に反する原告本人渋谷茂の供述部分は措信できず、乙事件甲第二号証の一ないし三によってもこれを覆すことはできず、他にこれを左右するに足りる証拠は存しない。

ところで、このような使用貸借契約に基づく土地使用権は、建物所有を目的とするものであっても、借地法等により手厚く保護されている借地権に比してその基盤も脆弱であり、譲渡性にも乏しいものであるところから、その財産価値は極めて薄いものというべきであり、従って、本件(四)の土地につき相続税の課税価格を算出するについては、前示のとおり、何んらの制限もない土地として評価することになる。

4 本件(五)、(六)の土地の借地権(別表(四)順号11記載の土地の借地権)及び買換建物(同順号12記載の建物)について。

(一) 前示乙事件乙第二三号証によると、原告キク、同茂及び同京子は、相続財産である買換借地権及び買換建物をそれぞれ一〇〇分の一五、一〇〇分の四七、一〇〇分の三八の割合により相続した事実を認めることができる。

(二) そして、右借地権及び買換建物の昭和四六年四月三〇日当時における時価がそれぞれ金八四六万二、四〇〇円、金一、五五三万七、六〇〇円であることは、甲事件理由四4において認定したとおりであり、前示甲事件乙第三九号証、第四九号証の一、二によると、昭和四六年には地価及び建築費は上昇頃向にあったことが認められるので、本件相続開始時である昭和四六年五月二九日における右借地権及び買換建物の価格は、いずれも前記各金員を下廻らなかったものと認めるのが相当である。そうすると、被告が借地権及び買換建物につき原告らの取得価格をそれぞれ右価格より下廻わる金三六七万一、九〇四円、金一、〇〇八万一、一〇〇円と評価し、原告らの前示割合による取得金額を原告キクにつき金二〇六万二、九五一円、原告茂につき金六四六万三、九一二円、原告京子につき金五二二万六、一四一円と認定した措置に違法はない。

5 別表(四)順号6記載の土地について。

(一) 原告らが本件相続税の申告に当り右土地を相続財産として確定申告した事実は、当事者間に争いがなく、右土地が相続財産に属したこと、被告が右土地につき前示路線価方式によって評価した右時価から借地権価格を控除し一坪当りの価格を金二万〇、七〇〇円として合計金七二万四、五〇〇円と評価したこと及び右土地を原告京子が取得した事実は、証人小口守義の証言及び本件口頭弁論の全趣旨によって認めることができる。そして、前示乙事件乙第二三号証によると、原告らは本件相続税の申告に際し、右5の土地の評価額を算出するに際して一坪当りの価格を金二万〇、七〇〇円としている事実を認めることができるから、被告の右評価は適正なものということができる。

(二) 原告らは、右土地は兼吉が相続開始前新井孝吉に譲渡したものであるから、原告らがこれを相続財産として確定申告したのは錯誤によるものであると主張するが、成立に争いのない乙事件甲第四号証によると、原告茂及び同京子は、昭和五三年一二月六日横浜簡易裁判所において成立した調停(同庁昭和五三年(1)第一一六号土地所有権移転登記手続請求調停事件)において、新井孝吉に対し、埼玉県浦和市原山二丁目三〇七番一〇、宅地三・三六平方メートル、同番九、宅地四八・四二平方メートル及び同所三〇八番一〇、宅地六〇・六四平方メートルにつき昭和四五年七月三日兼吉と右新井間に売買契約の締結されたことを確認するとともに、右各土地の所有権移転登記手続をすること等を約した事実を認めることができるけれども、兼吉が右新井に対し別表(四)順号6記載の土地を売渡したとの点については、右甲号証によっても認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠は存しない。従って、この点に関する原告らの右主張は、原告らの錯誤の点について判断するまでもなく失当である。

三  以上の事実によれば、原告らが本件相続によって取得した財産及びその評価額、相続財産から控除される債務、葬式費用並びに相続財産に加算される贈与財産価格は、いずれも別表(四)に記載するとおりであるから、その相続税課税価格(金一、〇〇〇円未満切捨て)は、原告キクが、金一、三四八万四、〇〇〇円、原告茂は金二、一六一万五、〇〇〇円、原告京子のそれは金一、七八七万八、〇〇〇円、以上合計金五、二九七万七、〇〇〇円となる。

そこで、右課税価格金五、二九七万七、〇〇〇円から相続税法第一五条による基礎控除額金六四〇万円、同法第一五条の二第一項の配偶者控除額金四〇〇万円を控除して算出した各相続税額から、原告キクにつき配偶者控除金一四五万四、九九九円、贈与税額控除金二万九、九〇〇円、原告茂につき贈与税額控除金一、〇〇〇円、原告京子につき贈与税額控除金二万九、九〇〇円等の税額控除をして原告らの納付すべき税額(金一〇〇円未満切捨て)を算出すると、原告キクにおいて金一七〇万〇、八〇〇円、原告茂は金五一〇万五、三〇〇円、原告京子のそれは金四一九万三、六〇〇円となる。その計算関係は別表(一一)(1)ないし(4)の記載のとおりである。

四  そして、以上に認定したところによれば、被告は、国税通則法第六五条第一項の規定により、別表(一一)(2)に記載するとおり原告らが更に納付すべき相続税額(金一、〇〇〇円未満切捨て)に一〇〇分の五の割合を乗じて得た額(金一〇〇万未満切捨て。)を過少申告加算税として賦課決定し得ることは明らかである。

五  以上に認定したとおりであるから、原告らに対してした被告の本件相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は、いずれも現実の金額を下廻る適法なものであって、原告らの主張するような違法はない。

よって、原告らの本件各処分の取消しを求める本訴請求は、いずれも失当として棄却を免れない。

(結論)

よって、原告らの本訴各請求は、いずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条、第九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 長久保武 裁判官 大喜多啓光 裁判官 山田知司)

別表(一) 甲事件課税処分経過表

<省略>

別表(二) 被告主張の譲渡所得金額の計算

<省略>

別表(三) 乙事件課税処分経過表

(1) 原告渋谷茂分

<省略>

(2) 原告渋谷キク分

<省略>

(3) 原告渋谷京子分

<省略>

別表(四) 渋谷兼吉相続財産の明細

<省略>

別表(四)の(二)

原告らの相続税額の計算

<省略>

別表(五)

ダルニー商事、日本冷凍から原告らへの金員支払表

<省略>

別表(六) 昭和46年4月30日現在における借地権価格

(1)

<省略>

(注) 1 本件土地は現在都市計画法上の市街化調整区域内にあり、直接該当する指数が不明なため用途地域別平均指数を使用した。

2 「指数表」は半年毎(3月、9月)に指数が表示されているため、上記の各指数は直前年次指数と直後年次指数との差を求め、これを6ケ月で除して1ケ月平均上昇指数を得て算出した。

(2) 指数表

<省略>

別表(七) 昭和46年4月30日現在における建物の価額

(1)

<省略>

(2) 建築物価指数の計算表

<省略>

(3) 減価償却費の計算表

<省略>

別表(八) 昭和46年4月30日現在における建物付属設備の価額

(1)

<省略>

(2) 減価償却費の計算表

<省略>

別表(九) 借地権及び建物等の按分計算

<省略>

別表(一〇) 甲事件税額計算表

(1)

<省略>

(2) 原告ら各人の税額計算表

<省略>

(3) 兼吉の譲渡所得金額の計算

<省略>

別表(一一)

(1) 相続税の総額の算定

<省略>

(2) 原告ら各人別の相続税の計算

<省略>

(3) 相続税の総額の計算

<省略>

(4) 原告らの相続税額の計算

<省略>

物件目録

(一)

所在 埼玉県浦和市大字原山新田字北原

地番 二九九番

地目 畑

地積 四三九・六六平方メートル

(二)

所在 同所

地番 二九八番

地目 宅地

地積 四九七・五二平方メートル

(三)

所在 同所

地番 三〇三番

地目 宅地

地積 六七七・六八平方メートル

(四)

所在 同所

地番 三〇八番

地目 宅地

地積 五七一平方メートル

のうち、三三〇平方メートル

(五)

所在 神奈川県横浜市東山田町

地番 一〇番二

地目 宅地

地積 一八一・八一平方メートル

(六)

所在 同所

地番 一一番二

地目 宅地

地積 四七九・三三平方メートル

(七)

所在 神奈川県横浜市港北区東山田町一〇番地二

同所一一番地二

種類 倉庫兼工場

構造 鉄筋コンクリート造陸屋根二階建

床面積 一階 一四五・二八平方メートル

中二階 一三・三二平方メートル

二階 一四三・三二平方メートル

(未登記)

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